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時事ネタコントの突っ込んだ話を書きます

「13水素水業者3社に行政処分」について

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13水素水業者3社に行政処分

元ネタ

www.asahi.com

健康や美容、ダイエットに関するアレコレは非常にグレーなものが多いですよね。

プラシーボ効果ってのが存在するんだから、科学的根拠がグレーでも健康被害さえなきゃいい気もするんですが、

そういう態度がPost-truthなんていう非常に厄介な時代を生んだんようにも思います。

 

考えたこと。

情弱?アホ?

水素水だったり、がんが消えるキノコだったりに騙される人は「情弱」なんつって揶揄されます。

ちゃんと効果を検証した情報に辿り着けないからだまされるんだ。やーい。

という論調ですね。

ちょっと調べれば効果の根拠が怪しいことがわかるのに、それをしない、

または、難しい用語を並べられるとわかんなくても信じてしまう、

なんてのも情弱として馬鹿にされます。

まあ、義務教育レベルの理科で怪しいってわかるくらいのアレなんで、

バカにされてもしかたない気もするんですが、

私も逆上がりできないし50m泳げるか怪しいし、

人には得手不得手があるってことで自己責任を言い募るのはよくないでしょう。

教育もね、ニガテを直すより得意を伸ばそう!って方向の方がいい気がするし。

そもそも理科の先生が「水からの伝言」とか教えちゃうんだしねえ。

なので、わかんない場合は分かる人に聞くのが一番なんですが、

分かる人ムカつく!っていう文化が一方であるんですよね。

カウンターカルチャーが残したもの

 

s-okudaira.hatenablog.com

 でも書いたように、僕はいわゆるカウンターカルチャーが残した負の遺産ってのは少なくないんじゃないかなと思っていて、

水素水からトランプ旋風まで、この延長線上にあると思うんです。

その負の遺産っていうのが、

「ちゃんと勉強した人に対する反発」です。

私も一応大学出てるんで、「水素水って効くのかな!?」って言われたら、

「絶対あやしいでしょ」と即答するわけです。

もっとちゃんと科学に詳しい人なら、

「効くわけないだろ」となるわけです。

その両方に含まれるのは「バカじゃねえの?」という響きです。

けど、水素水に期待してる人は何かそれなりの悩みというか願いがあるわけですよね。

痩せたいとか、健康になりたい、とか。

それに対してもちゃんと勉強した人は、

「消費カロリー以上に食ってたら絶対太るよ」

「老化を防げたら生物じゃないよ」

などと身も蓋もないことを言ってくるわけです。

そりゃあ気分が悪いですよね。

で、「言い方ってもんがあるでしょうよ!」っていうケンカになればよかったものを、

「あいつらは実は間違ってる。我々の直感の方が正しい」

と言い出した連中がいるんです。

そんなこと言われたら、ムカつくがり勉より自分を肯定してくれて、

なおかつ詳しそうな人の話を信じちゃいますよね。

ガリレオの罪

ちょっと脇道にそれますが、

天動説を唱えたガリレオガリレイ

この人のこと、

「天才的発見を教会の権威によって否定され、裁判にかけられて死んだ」

って習いませんでした?

あと、アインシュタインとかも、

「学校教育に馴染めず、相対性理論も当初否定された」

とか。

あとまあゴッホのアレとかもあって、

本当にスゴイ発見は、既存の間違った権威が必ず潰す、認められない、

みたいなイメージがあるんですよね。

私はこれ、人の描き出しがちなロマンティックなストーリーだと思ってたんですが、

最近はカウンターカルチャー世代が広めた道徳的偉人伝なんじゃないかと疑ってます。

就職した先が科学推しの、まあ物理の専門家が作った会社だったんですが、

そこで「我々の研究、発見は巨人の肩のうえに立つことで成しえたもので…」

みたいな訓示を聞いて、世界観ひっくり返りました。

新しい発見は父を殺し母を犯すことで成されると思い込んでましたので。

とにかく、

人は「今、認められていない」「権威が否定してくる」ってのを、

「未来で認められる超最先端のスゴイ理論」って解釈しがちなのです。

誠実な人は断言しない

これ系で一番こまった…というかうわわーってなったのは、

やっぱり3・11原発事故の後なんですよね。

放射能健康被害に関する情報が飛び交いまくって。

あれで「原発を作った科学なんて信じられなくなった」って人も多いでしょう。

逆に、チェルノブイリの周りでは奇形の巨大植物が跳梁跋扈していて、

下手したらゴジラキングギドラが住んでる、というイメージから、

実際のとこどうなんだろ?って情報にアクセスしたひともいると思います。

私は後者でした。

で、いろんな情報を見て、それに関する罵り合いを眺めているうちに気付いたのは、

「誠実な専門家は断言しない」

ってことです。

似非科学代替医療を好きな人から良く聞かれるセリフが、

「科学は絶対ではない」「科学は仮説にすぎない」ってやつなんですけど、

だからこそ、誠実な科学者は断言しないんですよね。

薬や手術の副作用にしたって、

「これで死ぬ人もいます。確率は100,000,000人に一人です」

と、説明するわけです。

もちろん、逆にそういう疑って疑ってなお疑いきれないような理論しか採用しない社会の住人だからこそ、

劇的に効きそうな新しい方法にも否定から入ったり、

ヤバい副作用が出てそうなものでもなかなか認めなかったりするのかもしれませんが。

ですが、どちらにせよ個人の体験や直感だけで

「絶対に効く!」「絶対に病気になる!」と騒ぐ人達よりはよっぽど信頼できるはずです。

それに、中には新しい方法に対して、

「わかんないけど効くかもね」っていう言い方をするひともいます。

僕はその「わかんないけど」ってところこそが、信用できるポイントだと思うのです。

 

まあでも、「絶対!」って言わないと話が進まないこともあるわけで、

「絶対!」って言わないと安心できないこともあるわけで、

そうじゃなきゃ「安全神話」なんて生まれてないですよね…。


13水素水業者3社に行政処分