仲田恵利花とアーの人のアーの人のブログ

仲田恵利花とアーの人のアーの人こと奥平聡のブログ

時事ネタコントの突っ込んだ話を書きます

26トランプ大統領が温暖化研究費はムダと発言

フォローする

youtu.be

元ネタ

www.yomiuri.co.jp

考えたこと

「人は信じたいものを信じる」

大統領選挙でトランプ旋風が巻き起こってる中、

トランプ支持者は反知性主義とか言って揶揄されていました。

 

トランプ大統領が就任してからは「オルタナティブファクト」なんて言葉が話題になったりして、

真実はいつも一つ!って常識が揺らいできた、というか、

相対主義の復活というか、

大袈裟に言えば、

我々が対話の可能性として持っていた「共通の何か」が完全に崩壊し、

あいつらはそう信じてるんだからしょうがない、という、

コミュニケーションへの絶望だったり、

「あいつら」と「我々」との分断に至っているように思います。

オルタナティブとかいう意識高い系ワード

オルタナティブという単語を初めて知ったのは、

1997年にスクウェアから発売されたゲーム「フロントミッションオルタナティブ

なんですが、これは全然関係ないですね。

雑誌やなんかで目にするようになるのはもうちょっと後。

「沖縄というオルタナティブ」とか「オルタナティブな生き方」

みたいな感じで、どっちかっていうとトランプさんのイメージとは程遠い、

ソトコトとか坂本龍一みたいな先進的で革新的でオシャレでインテリなイメージでした。

おそらく歴史的に、

「人間優先・開発が当たり前」の世界に対する、

環境保護を訴える人達の「オルタナティブな価値観」

だったり、

キリスト教圏、西洋文化こそが至上」という世界に対する、

民族音楽郷土芸能みたいな「オルタナティブな文化」の再評価、

みたいなものから始まったんだと思います。

それがトランプ陣営の無敵ワードとして使われるって事は、

要は、いつの間にかオルタナティブだったものがメインになってしまってたってことでしょうね。

少なくともトランプ支持の皆さんから見れば。

無敵ワードの世界

オルタナティブ」だったり、そのベースになる「相対主義」なんてものは、

言ってしまえば無敵ワード。

だって「我々にとってはこれが真実!」とか言われたら、

「そうですか」で終わるしかない言葉なんだもん。

そういう最強ワードが、よりによって最悪な相手にパクられてしまった感があります。

環境倫理のラディカルな人たちは、

「絶対に悪影響がない証明されないとやっちゃダメ」

なんてことをよく言っていたわけですが、

「絶対」が証明されることなんて滅多にないわけで、

っていうか「絶対」は無いってのが相対主義なわけで、

ホントは絶対じゃないけどこうっぽい、を議論しなきゃいけない所を、

「絶対じゃないなら俺らの勝ち!やっちゃダメ!」

を主張し続けてしまったわけです。

この件についてはこうだよね、って決まったことに対しても、

「こういう意見もある!」って主張して、

まあそれで事実関係をちゃんと調査するならいいんですが、

「これはオルタナティブな意見だ!認めないのはファシズムだ!」

ってやっちゃったケースも多々あると思うんです。

相対主義ってのはそういう詭弁を可能にしてしまうモノなんですよね。

で、一度それで「オルタナティブファクト」が乱立してしまうと、

もうその間でのコミュニケーションは不可能です。

血で血を洗う宗教戦争の時代の始まりです。

相対主義は金になる

相対主義はこんな感じに実社会でめっちゃ強いので、昔から金になったようです。

古代ギリシャの時代から相対主義者を駆使したソフィストって連中がいい感じに稼いでました。

で、そのヤバさってのを指摘したのがソクラテスプラトンで、

そこから西洋の思想史のメインストリームは始まります。

で、メインはやっぱりこの「真実はいつも一つ派」だと思うのですが、

長い歴史の中で相対主義の再評価ってのは何度もされています。

そのなかで一番大きいのが、現代社会にもものすごく影響を与えている、

20世紀アメリカ生まれの「プラグマティズム」ってやつです。

本当のことは分からない。

けど、仮定でやってみてうまくいったら、うまくいってる間はそれがホントでいいんじゃない?

って考え方です。

これ、仕組みがよくわからなくても上手くいくやり方はどんどん使っちまえってことなんで、

アメリカの科学技術と社会の発展に思いっきり貢献するわけですね。

今もビジネス系の啓発モノではよく登場する考え方です。

人は迷いの中でも前に進まないといけないので、悪くない考え方だと思います。

なんですが、

仮定をしたり、結果を評価するためには「目的」を設定することが必要で、

それ次第ではとんでもないことも正当化されてしまうのです。

よくあるのが「ビジネスの目的は金を稼ぐこと」で設定してしまうと、

科学的にアウトな健康商品も、儲かるなら販売してしまう。

(効果ないという科学的結論に対して、効果があるという「オルタナティブファクト」を持ち出してしまう。)

差別的な結社でもビジネスにつながるなら同調してしまう。

まあ、金儲けにあれこれ言ってもしょうがないし、

実際上手くいくんだから行動指針として採用する分にはいいけど、

ファクト認定してしまうのは行き過ぎだと私は思うのです。

んで、こんなようなことから、

ドナルド・トランプというビジネスマンが、

相対主義オルタナティブファクトを駆使して大統領になった、

っていうのは、示唆的だと思うのです。


26トランプ大統領が温暖化研究費はムダと発言